チタンの化学変化による色の不思議をチタンの立場からアクセサリー加工に活かす実例。
着色でないメタル本来のカラーを研究し、彫金に取り入れます。いわゆる銀色と広く呼ばれる金属全般には、実は色々な発色があり、
反射によりさまざまな色彩を放ちます。
チタンは銀色ではありません、チタンはチタン色です。金属色の中でも銀よりは暗いトーンの灰色です。ジュエリーのルーペを覗いて接近してよく見て見ると玉虫色(構造色)に反射したカラフルな色がついているかのように見え、その集合体としてグレーとして認識されます。指輪の内側の面は目に対して並行ではなく、湾曲している面を見ることになります。それにより、ちょっと視線をずらすと違う色に見えたりします。加工は、色付き、色なしなど指定できます。
チタンを手に取って見た事がないお客様からチタンの地色へのご質問をいただきます。
チタンとシルバーは専門家でないと見分けがつきません。
チタンの地色というのはプラチナ色と同じトーン(色の明度)です。
専門的にいうと、グレーの中でもチタンは暖色系のグレーです。純銀の色はというと=シルバーの色は白に近いグレーです。寒色系のステンレスに比べ銀は暖色系寄りです。
伝統的な金工では銀を白と呼んだり、しろがねと呼んだ古語からもわかるように、シルバー950の色は厳密に言うと他の金属色と比べると、色調上はうっすらクリームがかった色調のようなかなり白っぽい明度の高いグレーです。クリーム色という色は暖色ですので、同じグレーの中でも暖色系ということができます。
どちらかというと、プラチナの方が寒色系の銀色です。
チタンとシルバーを2枚重ねて色を見比べてみますと、「白」と「銀色」の組み合わせのように見えるのです。おかしな話なのですが、色彩として比較すれば「白」がシルバーで、「銀」がチタンという表現があたっています。
トーンはチタンとプラチナは同色ですが、色味的にはチタンの方があたたかみがあり、プラチナやステンレスの方が寒色系です。これは一つのグレーのような色の金属色を相対的に比較した結果です。一般のアクセサリーとして身に付けていただくのであれば、通常の百円硬貨のような金属色と思っていただいて大丈夫です。
色彩というのはすべて、相対的に表現されますし、光が物に当たって網膜に映る色ですので、金属のように、色を持たず、反射してしまう金属はグレーと言うのも変ですが、銀色というのもあたりません。磨き方によって反射がかわり、さらに明るく見えたり、鏡面にすれば、黒っぽく写るときもあるからです。
日本では、青りんごや青もの、青々と茂ったなどという表現をしますが、正しくは緑です。また、グレー系の光るもののことを総じて銀色とも呼びます。チタンをそう呼びたいところですが、ここでチタンのオーダーメイドの際に「銀色」という言葉を使いますとまぎらわしくシルバーのオーダーメイドと誤解を生じてもいけませんので控え、無色、地色と表現しています。
白金とプラチナ
よく間違えている方がいらっしゃるのですが、白金=プラチナ。同じ金属です。
ジュエリーではプラチナと呼びますが、工業界では白金と呼んだりされます。
洋白という金属って?
楽器やコインで見たことがある方がいらっしゃると思います。洋白は銀とは別です。洋白は銅6:亜鉛2:ニッケル2、の合金です。銅+亜鉛が真鍮ですから、真鍮をニッケルで白くしたものが洋白です。混合の比率は変えられたり改良されたり用途により変化があります。フルートは純銀製を演奏用に、練習用は洋白製、あるいは真鍮にクロムめっき、真鍮に銀メッキなどがあり、いずれも白系金属の楽器です。ただし健康上メッキは(特にクロムメッキ)はあとあと金属アレルギーの心配があります。ブラスバンドと言われるのはブラス=真鍮製の金(黄)色系の楽器群からきています。