チタンの化学変化による色の不思議を加工に活かす実例。
着色でないメタル本来のカラーを研究し、彫金に取り入れます。いわゆる銀色と広く呼ばれる金属全般には、実は色々な発色があり、
反射によりさまざまな色彩を放ちます。
色があるのが、チタンのいいところでもあり悩ましいところでもあります。何色にしよう。。。
黄、橙、赤茶、紫、藍、紺、青、空、檸檬、赤、緑、黄緑。名前が付けてもらえた色は認知されますが、名前がつけられなかった微妙な違いの色は有っても無いに等しいように捨象されてしまったかのようです。枠にはめ、レッテルを貼り、わかっているものしか誰も見ようとしなくなった、言葉に対応していないと、見えなくなってしまった。利にも害にもならない、名前も知らないものを切り捨てて、理解しようともしなくなってしまった、その切り捨てられた無名でわからないで過ごしてしまったものを手ですくってみえるように翻訳して提示してくれるのがアーティストかもしれません。世の中不思議だらけだっていうことを気づかせてくれる。忘れて見落とされたけど実は価値があることを物にしてくれる。写真は一種の時間定着装置、あるいは時間記録装置ともいえます。指輪にも色があり、指輪とともに過ごすパートナーが居て、指輪にも時間が経過していって、日々の細かい年輪も刻々と刻まれて定着装置となって残っていきます。
結婚指輪をチタンで作ろうとしている花嫁の最大の悩みは何色にするかどうか。。。
そしてそれが今だけでなく、これから未来の自分にも似合い続けるかというもんだいです。
服は毎日着替えられます。でも結婚指輪は着けたらまずはずさないということが前提です。将来の自分の好みが変わるかどうかもわからない、ずっとこの色が似合うかわからないのです。これは大問題です。
だってお相手の象徴というか、いつもそばに居られないけれど、この指輪とはいつも一緒にいるよという意味で心臓にもっとも近い薬指にはめるわけですから。
その結婚指輪に例えば花嫁ならピンクを使いたい、でもおばあちゃんになってピンクの結婚指輪って、そういう心理になるのでしょう。ピンクを着る年齢層がどうなのかを判断する指標は広告で見慣れたイメージの刷り込みです。時代は新しいものを求めます。永年ピンクのイメージが固定することはありません。
ピンクのランドセルが選ばれる日本。赤を選ぶのは男の子が多いアメリカ。お国柄の違いは刷り込みの違いもあると思います。
人のことをみるときも、判断材料になる大きなウェイトを服が占めたりします。 人から見られるときも、判断されるのは、仮面や装いだったりします。 服は人を演出します。服の効果が大いに効いています。 ひとは自分が見えないので、他者にどう映っているかを照らし、それを返してもらってはじめて自分がどういう存在なのかを知ります。