チタンの化学変化による色の不思議を加工に活かす実例。
着色でないメタル本来のカラーを研究し、彫金に取り入れます。いわゆる銀色と広く呼ばれる金属全般には、実は色々な発色があり、
反射によりさまざまな色彩を放ちます。
prodottoがチタンの指輪を模索し始めた18年前にはほとんど知られていなかったチタンですが、今ではもうバイカーにはすっかりおなじみのチタンのマフラーの色。玉虫のようなレインボーのような不思議な色。
チタンにはカラーリング加工ができますが、その表層は不働態皮膜と呼ばれるものです。
非常に強い紫外線を人工的に照射して起こすチタンの光触媒が環境にも利用されていることで知られる酸化皮膜と同様、このカラーリング加工によりチタンの耐蝕性は向上する利点があります。
チタン独特の美しい色(干渉色)は光源の照度や、反射によって色々な色に見えるものですが、これは、チタンの酸化皮膜=不慟態皮膜が形成されてできる干渉色によるものです。純チタンという金属は化学的に活性な金属で、チタン自ら表面に数ナノメートル厚のごく薄い陽極酸化物の皮膜(不働態皮膜と呼びます)を形成します。この皮膜を作ることによって安定し、外界からの腐食をしないよう、チタン自らが自分の身を守っている、まるで生物のような性質の金属がチタンです。
陽極酸化皮膜の屈折率の違いによりチタンリングのカラーも色々な発色をします。
ニュートンで知られるプリズムの7色に似た、干渉色のような色もカラーリングできます。
干渉色のわかりやすい例は、CDやシャボン玉の反射です。このグリーンも干渉色です。
ブルーに見えるところを見てみようと思って角度を変えても、視点をずらしても同様に、グリーンのとなりは青緑に映りますが、実際には全面が均一に深いグリーンの加工なのです。部分的に色がはげたりにじんだりしているのでもなければ、色ムラになっているわけでもなく、人の目にそう映る不思議な層ができているのです。